- 品質保証部っていらないよね?
- なんで不要だと思われるのかな
- 実際に働いてる人の話を見たい!
会社にとって品質保証部は非常に大切な部署です。
なぜなら自社製品の品質に責任を持っているから。
この記事では品質保証部はいらないと思う方が見落としがちな必要性について、実体験をベースにまとめています。
品質保証部に対して理解が深まるので最後までご覧ください。
- 品質保証部は会社を代表する部門
- 直接お客様へ謝罪や説明をしている
- どこより問題解決力が身に付く仕事
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品質保証部の転職におすすめの記事です
品質保証部の仕事内容は?
品質保証部(QA部門)は製品が一定の品質を保つように管理する役割があります。
製品がスペックを満たしているか、図面通りに生産されているか、しっかり検査しないといけません。
また、お客様へ納入した後に不具合が発生した場合も、原因特定や再発防止に取り組んでいます。
なぜ品質保証部はいらないと言われるのか?
品質保証部がいらないと言われるには理由があります。
他部門の仕事内容と重なるから
製造部門や設計部門は自身で品質管理を行っており、不具合を出さないために作業手順を決めたり、いろんな試験を行っています。
そのため、品質保証部門がやっている仕事が他の部署と重なってしまうことがあります。
- 作業手順書の作成
- 開発機器の試験
- 購買先への指導 など
自部門でできるから無駄だと思われ、品質保証部門がいらないと感じてしまうのです。
検査がコストと見なされるから
品質保証に人数や時間をかけすぎると、人件費や設備費がかかります。
そのため、品質保証部門が企業の利益を圧迫する部署だと考える人もいます。
生産性や利益だけを考えて、品質の優先順位が低い企業も少なくありません。
品質保証部は品質に対して責任を持つという大きな役割がありますが、他部署からは「面倒を押し付けてくる」というイメージを持たれやすいのです。
品質管理が自動化できるから
従来は品質の管理といえば製品を人の目で見て良否判定していました。
しかし現在はDXによって品質管理ができるツールが増えてきています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務を改善・効率化することです。
たとえば、AIを活用した画像認識技術により自動判別したり、高精度のセンサーやカメラを使って生産ラインでのリアルタイム検査を行い、人の目では見逃しやすい微細な不良も検知することが可能です。
検査の精度が向上し、よりスピーディーに工程内で品質管理できるため、検査専門の人をなくしても大丈夫だと考える企業も出ています。
部門間で理解し合えないから
会社の中では品質保証部門が警察のような役割があるため、他の部門から嫌われることも少なくありません。
品質保証部が「基準を満たしてない」と判断すると、やり直し作業が発生し他の部署の計画が遅れることがあります。
品質保証部門は指示を出すだけなので、実際に作業する製造部門や設計部門との関係が悪くなることがあります。
製造部から見た品質保証部
製造部はできるだけ速く効率的に製品を作らないといけません。
しかし、品質保証部では品質を第一に考え、細かなチェックが欠かせないのです。
重視しているポイントが違うため、すれ違いの原因になり、製造部は品質保証部に対して不満を抱きやすいのです。
設計・開発部から見た品質保証部
設計・開発部門がアイデアを製品に反映させるとき、品質保証部が安全性や基準に基づきチェックを行うことで、計画の変更や遅れが発生することがあります。
たとえば、新しい素材を使用したいと考えている場合、品質保証部から追加の検査が必要だったり、使用不可と判断されることがあります。
そのため開発プロセスが長引き不満がたまってしまうことも……
このように、スピードよりも品質を重視する品質保証部の役割が開発部との衝突を生むことがあります。
調達・購買部から見た品質保証部
調達・購買部門と品質保証部門の間にも衝突する可能性があります。
購入先に対して、出荷前の検査を強化したり、よりしっかりした梱包にする場合など、品質アップの手間が増えるとコストが高くなります。
毎日コストダウンを頑張ってる購買部門からすると、品質保証部の意見によって仕入れ金額が高くなり不満が出ることがあります。
このように、実際の作業を確認せずに指示すると「厳しいだけで、役に立っていない」と思われ、品質保証部門は不要だと考える人が出てくるのです。
問題解決に時間がかかるから
品質保証部の原因調査や再発防止には基本的に数ヶ月単位で時間がかかります。
分析や対策の検証に時間がかかることが多く、他部門から見ると「動きが遅い」と思われることがあります。
問題解決が遅れると顧客満足度が下がり、最悪の場合、顧客を失うリスクも生まれます。
社内全体の品質意識が薄れるから
自社製品に不具合が発生した場合、品質保証部門に任せきりになると、他の部署が品質について重視しなくなります。
従業員が品質の責任を負わなくて済むと気楽になり、いつまでたっても品質が改善しません。
そのため品質保証部は不要だと考える経営者が存在します。
品質保証部がいらないと思われた体験談
筆者が品質保証部に配属していた時、製造部門で誤って部品を壊してしまったことがありました。
品質保証部から原因と再発防止対策を指示するのですが、製造部門からするといい気分ではありません。
という声があり、実際に再発防止を行うのは製造部門や設計部門なので、品質保証部は「いらない」と思われがちです。
各部署へあらゆる依頼や指導を行うので口だけと思われることも多いですが、製造業では品質保証部の必要性を必ず知っておかなくてはなりません。
品質保証部がないとどんなリスクがある?
品質保証部をなくした場合、製品に不具合があるまま市場に出るリスクが高まります。
過去に、品質保証部を縮小したことで製品の不具合が多発し、結果として顧客の信頼を失い大きな損害を受けた会社もあります。
また、品質保証部がないと、設計部門や製造部門にすべての負担がかかり、通常生産に影響が出てしまいます。
その結果、再発防止の対応が遅れたり、生産できなくなったり、問題が多発してしまいます。
品質保証部をなくすことで短期間でコストを削減することはできますが、長期的には大きなリスクが増えてしまうのです。
品質保証部が製造業にとって必要な理由3選
品質保証部の必要性を3つの観点から見ていきましょう。
①問題点の洗い出しと対策
品質保証部の最も重要な役割の一つは、製品やサービスにおける問題点を見つけ出し、それに対する対策をすることです。
このプロセスによって、重大な問題が表面化する前に対処することができます。
たとえば、製品のテスト段階での問題の特定や、お客様からのフィードバックを元にした改善策の提案などがあります。
これにより、製品の信頼性を保ち、将来的な問題の発生を防ぐことができます。
②客観的な分析と品質向上
品質保証部は、分析を通じて製品やサービスの品質向上に貢献しています。
データや事実に基づいて判断することで効果的な改善策を打てるのです。
たとえば、工場内で発生した不具合と、顧客先で発生した不具合のデータを集約させ分析することで、量産品に展開したり製品開発に反映させることができます。
これにより、品質の安定性を保ちながら、継続的な改善を実現することができます。
③顧客満足度の向上
品質向上に取り組む品質保証部の仕事は、顧客満足度アップにもつながります。
製品の品質がよく使いやすかったり、もし不具合が起こってもすぐに駆け付けてくれるといった信頼を得ることができ、お客様と長期的に良好な関係を築けるのです。
このように、品質保証部は製造業にとってかなり大事な存在です。
部署どうしでは不満が出やすいですが、品質向上や顧客満足度の向上に役立つ仕事で、お客様に満足してもらえるように取り組んでいるのです。
【体験談】実際に感じた品質保証部の必要性
2018年に勤めていた会社でお客様に不良品が流出してしまいました。
営業部門やサービス部門が謝罪と説明に行っても収まらず、お客様はカンカンに怒っていたんです。
そこで品質保証部が責任をとり、品質課長がお客様に直接訪問して説明したところ、すぐ納得されて解決しました。
原因特定や再発防止を一つ一つ説明することで、お客様から理解してもらえたのです。
「お客様が納得できる報告内容」にするためには、自社の関係部門に対して改善するよう指示しなければなりません。
そのため、製造部門や設計部門をはじめとする他部署に対して、品質保証部が厳しく指導することがあるのです。
品質保証部はメーカーの「最後の砦」です。
自社製品の品質を保証するためにとても必要な部署であることをぜひ覚えておきましょう。
品質保証部に必要な仕事の進め方
次に、品質保証部と他の部署が協力して仕事を進めるためのポイントを解説します。
開発の早い段階で品質保証部が関わる
品質保証部が開発のはじめの段階から入ることで、特に開発部門とスムーズに仕事を進められます。
たとえば、新製品の設計段階で確認すべき項目や基準を決め、「仮説」と「検証」をくりかえすことで、品質を確保しながら開発を進めることができます。
品質保証部門の客観的な意見を参考にすることで、品質の高い製品を作ることができるのです。
はっきり役割分担し責任を共有する
品質保証部と他部署が協力するためには、役割と責任を明確にすることが必要です。
たとえば、品質保証部が製造部に品質基準を作り、その基準を守る責任を製造部が負うようにすることで、どちらも目標を共有しやすくなります。
部門ごとに100%の力が出せれば、最高の製品が出来上がります。
このように役割を明確にすることで、それぞれの部署が目標に向かって全力で取り組めるようになります。
コミュニケーションを強化する
他部署とのコミュニケーション不足は、製品の良し悪しにも影響します。
しっかり意見を交わすために、品質保証部は定期的に品質に関するミーティングや情報共有の場を設けることが大切です。
たとえば各部門と月に1回、品質に関するミーティングを行うことで、情報を共有し問題が大きくなる前に対策を立てられます。
こうした取り組みは、品質保証部が単に「監視役」であるだけでなく、サポート役としての役割を果たしているのです。
DX化してデータ活用する
品質保証部は長年、製品の品質を守るために手作業や人による確認が中心でした。
しかし、近年ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むことで、品質保証の方法も大きく変わろうとしています。
生産データに関する大量のデータを活用することで、不具合の傾向を分析したり、予防策を立てることができます。
たとえば、工場内のセンサーが収集したデータをAIが解析し、「特定の工程で不良が発生しやすい」というパターンを見つけることができます。
これにより、事前に対策を打つことでトラブルを減すことができるのです。
外部機関を活用する
外部監査機関に一部の作業を依頼することも効果的です。
たとえば、測定機器や加工機械を自分たちで校正するには多くの時間と人員が必要ですが、外部に依頼するとその分リソースを確保することができます。
単純作業やを外注化することで、不具合の再発防止や品質を高める改善活動に注力することができます。
測定計器の狂いや精度を、標準器と比べて正すことです。
他部署への品質教育をする
品質を維持するためには、社員全体の品質意識を高めることが重要です。
たとえば、製造部が品質基準やチェックリストをしっかり守ったり、設計段階で不具合のリスクを潰し込むなど、各部署の担当者自身で製品の品質を維持することができます。
そのために、品質保証部がそれぞれの部署に対して、定期的な研修やワークショップを行い、社員一人ひとりが品質に対する責任を持つ体制を作ることが求められます。
これから品質保証部に求められるスキル
最後に、品質保証部は今後どのように進化するか、どんなスキルが必要になるかを見ていきましょう。
デジタル技術の知識を身につける
今後、品質保証部にはデジタル技術の理解と活用が求められます。
たとえば、データ分析ツールやAIを活用して製品の品質をリアルタイムで管理するスキルが求められます。
現在ではまだAIを使うまでには至らず、データ化に苦戦している企業がほとんどです。
DX化を進めることで、品質保証部は単なるチェック役から、データを駆使した分析と改善の提案を行えるようになります。
コミュニケーション能力を高める
他部署と連携して効率よく問題を解決するためのコミュニケーション能力が不可欠です。
少子高齢化のいま、人材の確保が難しくなっているので今いるメンバーが協力しあい、力を発揮しなくては企業は生き残れません。
そのためには、部門間の情報をスムーズに共有したり、お互いの大変さを理解するような人間関係が大切です。
コミュニケーション能力をアップさせ、みんなが生き生き働ける雰囲気づくりを目指しましょう。
品質管理の手法を身につける
品質保証部は、柔軟性と学習意欲も求められます。
そのなかでも統計的な品質管理の手法を学び、品質向上に役立てることが大切です。
- パレート図:問題の優先順位を決める
- 特性要因図:問題の原因を特定する
- チェックシート:指定項目の結果を記録する
- グラフ:数値データで傾向や変化、大小関係などを可視化できる
- ヒストグラム:データのばらつきを示す
- 散布図:2つの変数の関係を調べる
- 管理図:工程の管理状態を監視する
実際に業務で使える人はまだまだ少ないのが現状です。
これらのスキルを身につけられると、どの会社に入ったとしても一目置かれる存在となります。
品質保証部への転職を目指す人へ
品質保証部への転職がおすすめな理由
品質保証部は製品の安全性を保ち、企業の信頼を守るための大切な部門です。
問題が起きたときに素早く調査し改善策を提案するという、会社の信頼を高める重要な役割があります。
これはどんな会社でもどの時代でも通用するスキルになるので、品質保証部に入ってぜひ身につけてください。
製造業特化の転職エージェントを使うべき理由
製造業の中でも品質保証部への転職を成功させるためには、専門的な転職エージェントを活用することがおすすめです。
品質保証に必要なスキルの理解と指導があるから
製造業に特化した転職エージェントは、品質保証部の仕事内容や求められるスキルに精通しています。
品質保証の仕事は単なる検査作業ではなく、不良の分析や品質基準への適応や、他部署との協力が求められます。
そのため、エージェントを利用することで求職者が過去の経験やスキルをどうアピールすればよいか、具体的なアドバイスをしてくれます。
品質保証部の専門的な求人情報が多い
製造業に特化したエージェントは、品質保証部の求人を多く取り扱っており、一般の求人サイトでは見つからないようなポジションも紹介してくれます。
製造業に特化した転職エージェントなら、多くの品質保証部の求人から選べるのも大きなメリットです。
製造業に絞っていることで、中小企業から大手企業まで幅広い求人情報を持っているため、希望に沿った条件での転職活動が可能です。
そのため自分に一番ピッタリな職場を見つけやすくなります。
業界特有の転職対策をサポートしてくれる
品質保証部の面接では、具体的なトラブル解決経験や、品質向上のために取った工夫などを聞かれることが多いです。
製造業専門のエージェントは、こうした業界特有の質問に対する回答の準備を手伝ってくれます。
一般的に有名ではないかもしれませんが、製造業・メーカーで働きたい人にはぜひ利用してもらいたいサービスです。
>>品質保証部におすすめの転職エージェントまとめ記事はこちら
まとめ
- 品質保証部が不要と思われるのは指示するだけと感じられるから
- 自社製品の品質を確保している部署であるため責任は非常に大きい
- 重大な不良流出の場合は顧客先へ謝罪と説明をしなければならない
以上が品質保証部が不要だと思われるわけと実は必要な理由の内容です。
品質保証部のデメリットは検査による製造スピードが遅くなったり、細かく製品をチェックすることで製造コストが増加しやすいことです。
しかし、製品の品質と安全性を確保し、事故を防ぐという企業として大きな責任を持っている部署でもあるのです。
会社を代表する品質保証部で働きたい人はぜひチャレンジしてください。
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