- メーカーの設計ってどんな仕事をしてるの?
- 製造業だから何だか手作業なイメージ…
- ネットでは激務って見るけど本当なのかな
メーカーの設計部門は責任が大きく忙しくなりやすい部署です。
なぜなら製造業において根幹となる部署だから。
本記事では筆者がメーカーの設計部門に務めていた経験をもとに、業務内容と必要なスキルについて解説しています。
設計のイメージができることで、就職・転職先に考えることができるでしょう。
- 設計部門はメーカー企業の根幹
- 開発から不具合対応まで幅広い業務
- 企業によっては激務だが大変やりがいがある
製造業のメーカー設計の役割と概要
メーカーにおける設計部門はその会社の根幹となる重要な部門になります。
どんな機械でも作ろうと思ったら図面が必要です。
図面をもとに部品を発注したり組み立てたりするので、その図面を作る設計部門はめちゃくちゃ大事な部署です。
製品の価値とも言えるノウハウをこの部門が保有していると言ってもいいですね。そのため業務も非常に幅広くなります。
たとえば、積算、受注後のお客様向け図面作成、購買先からの仕様変更承認作業、場合によってはお客様への技術説明、開発業務など。
積算とは、製品を作るために必要なコストを積み上げて原価を算出することです。営業部門は原則この積算にマージンを乗せてお客様へ見積書を提出します。(正規の手順ではありませんが、企業によっては時間短縮のために営業が概算で積算することもあります…)
メーカー設計の年収
令和4年賃金構造基本統計調査によると、機械技術者の年収は470万円〜610万円ほどとなっています。
(令和4年賃金構造基本統計調査をもとに編集)
全職種の平均年収が443万円であることから、平均より高めの職種といえます。
図面作成の仕事内容について
設計と聞くと全くの白紙から図面を描くイメージがあるかもしれません。
しかし、実際にはほとんどが過去の図面を流用した変更図面がほとんどです。
クレーム対応について
お客様からクレームを受けた場合、設計見解を求められることがあります。
製品には、開発した部署でないとわからないメカニズムが多く含まれています。
素人でも分かりやすいような、論理的で明瞭な見解書を作成しなければなりません。
以上のように設計部門は企業の根幹を担う部門であるため業務が多岐に渡ります。
製造業のメーカー設計が激務でつらい理由
①他社製品と差別化をしなければならない
製品の開発段階から設計部門の責任は重大です。
他社製品と差別化できていないと社内で承認されにくく、納得できる提案があるまで採用されません。
製品スペックを上げるだけでなく、ユーザーがいかに使いやすいかも考える必要があります。
②製品の不具合対応が大変
お客さんが製品を使っている時に不具合が発生したら、原因特定をしなければなりません。
製品不具合の発生時は品質保証部と一緒に調査することになります。
③後工程に影響が出るプレッシャー
設計が間違ってしまうと、その後の調達・製造・品質すべてに影響が出てしまいます。
不適切な部品が納入されたり、組み付けられなかったり、作動しなかったり、一歩間違うだけで多大なコストがかかります。
重要な仕事であるため、プレッシャーを感じることがあります。
④業務量が幅広く休日出勤や残業がある
設計というと図面を作ることをイメージします。
しかし、実際はお客さんの要求仕様の確認をはじめ、原価計算(積算)・購買先からの問い合わせ対応・お客さんからの問い合わせ対応など、かなり幅広い仕事です。
一つずつミスなくこなす必要があります。
⑤他の部署から厳しい意見をもらいやすい
一つでもミスがあるとあらゆる部署から批判を受けやすい部署です。
批判的な意見に負けず、しっかり事情を説明する力もつけていく必要があります。
⑥成果が見えづらくキャリアアップが難しい
設計の成果というのは非常に見えづらいです。
営業であればどれだけ受注したか、調達であればどれほどコストダウンできたかなど、数字で表れるので評価がしやすいです。
しかし、設計は図面を作ったり開発できて当たり前です。
次に設計の具体的な仕事内容をご紹介します。
激務と言われるメーカー設計の仕事内容
①原価を計算する積算作業
製品をなるべく安く作るために設計部門は原価を足し合わせていく作業を行います。
コストダウンと聞くと調達部門の仕事のように思いますが、どの部品を選定するのかは設計部門が行います。
そのため、積算業務は設計部門が担当します。
②製品の根幹となる図面作成
設計部門と聞くとイメージしやすいのが図面作成です。
ほとんどの場合、元になる図面を使ってお客さんごとにカスタマイズします。
全くの白紙から図面を書くことはまれで、図面を一部流用しながら細かい仕様をCADで修正していくような作業になります。
③不具合時の対応
製品を製作している途中でも、お客さんへ納入した後でも、不具合は発生します。
その際、品質保証部と一緒に原因特定や再発防止を考えるのも仕事の一つです。
製品を熟知している設計部門でないと分からないことがあります。
④設計変更
一度生産し始めたら設計の仕事は完了!というわけではありません。
生産しているときでも構成部品のモデルが変わったり、部品が生産中止になったりします。
組み立て性が悪いから図面を変更してほしいこともあります。
⑤各問い合わせ対応
図面を描いたり変更するだけでなく、他社からの技術的な問い合わせにも対応しなくてはなりません。
自社製品を構成している部品メーカーであったり、お客さんだったり、色んなところから問い合わせがあります。
レスポンスの速さはもちろんですが、誤った情報を流さない正確性もかなり重要です。
メーカー設計が激務で辛かった経験談
20代の頃、僕がアフターサービスで現場作業をしながら設計として図面も描いていたことがあります。
現場の状況に合わせながら機械を据えつける架台を設計したり、電気配線をカスタマイズすることを行っていました。
朝7時から20時まで現場作業を行い、ホテルに戻って夜中2時まで図面を書くという生活を1ヶ月間やっていて、本当に倒れそうでした。
手当もつかず、かなりのブラック企業だったので転職しました。この記事を読んでいただいてるあなたには、ぜひ健全な企業に勤めていただきたいです。
製造業のメーカー設計のある一日
僕が設計部門にいたときは積算業務とお客様への提出図面作成の繰り返しでした。
基本的には過去の図面を流用し、オプションがあればその部分のみ追加して図面を作成します。
図面が完成したら上長に承認をもらい、お客様の企業名を入れた表紙をつけて提出します。
お客様から仕様書を入手したら、見落としがないよう細かいところまで確認しスペックのあった設計をしなければなりません。
少しでも間違えたまま進めてしまうと大幅な後戻り工程となり他部署だけでなくお客様にまで迷惑をかけてしまいます。
メーカー設計が激務でつらい時の対処法
先輩や上司に相談する
まずは身近な人へ相談しましょう。
仕事には誰でも得意・不得意があります。
業務の負荷を調整してもらったり、別の仕事を担当してもらえないか、話してみましょう。
転職して環境を変える
設計部門でも企業によってかなり難易度に差があります。
図面修正だけの事務的な仕事がメインなところもあれば、構造力学や電気回路の知識を必要とするところもあります。
もっと違う仕事がしたい、別の業界も経験したいと思ったら、転職活動してください。
転職エージェントに登録したり、無料アプリを使って、あなたの市場価値を知ることができます。
耐えきれない方は退職する
どうしても今の職場に合わない方は、すぐに退職するのも1つの方法です。
もちろん次の仕事が決まってから退職するのが安心ですが、精神的にツラい場合は我慢する必要はありません。
あなたの体やメンタルが1番大切です。
まとめ
- 設計部門はメーカー企業の根幹
- 開発から不具合対応まで幅広い業務
- 企業によっては激務だが大変やりがいがある
あとがき
以上がメーカ設計の仕事内容です。
自分に合った職種を知りたい方はこちらの診断ツールまとめ記事をチェックしてみてください。