- メーカーの設計ってどんな仕事?
- 製造業だと手作業なイメージ…
- 実際に経験した人の話を見たい!
メーカーの設計部門は責任が大きくやりがいのある部署です。
なぜなら設計は製造業の根幹となる部署だからです。
本記事では筆者がメーカーの設計部門に務めていた経験をもとに、業務内容と必要なスキルについて解説しています。
設計部門の仕事をイメージして、後悔しない製造業への転職を成功させましょう。
- 設計部門はメーカー企業の根幹
- 開発から不具合対応まで幅広い業務
- 企業によっては激務だが大変やりがいがある
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製造業におけるメーカー設計の役割と概要
メーカー設計の基本的な役割
メーカー設計は、工場で製品をつくる前に図面を描いて製品の形や仕組みを決める部門になります。
この図面をもとに工場で製品を作るので、設計が正確でなければ製品全体に問題が生じかねません。
たとえば、車や電化製品のパーツが正しく組み合わさるかどうかも設計にかかっているのです。
どんなに小さな部品であっても寸法や材質を図面上で正確に指定しなければなりません。
メーカー設計の年収と評価
令和4年賃金構造基本統計調査によると、機械技術者の年収は479万円〜610万円です。
メーカー設計者の年収は、全職種の平均年収443万円と比べると高い傾向にあります。
設計者には製品の規格や仕組みなどいろんな知識が必要となります。
そのぶん年収が高かったり、関連する資格を持っていると手当がついて収入面でのメリットが大きいです。
図面作成やその他の業務
メーカー設計者にとってメインの仕事は図面作成です。
設計というと白紙の状態から図面を描くイメージがあるかもしれませんが、実際には7割以上が過去図面を流用します。
主にCAD(コンピュータ支援設計)という特別なソフトを使い、製品の詳細を細かく描きます。
図面作成以外にも、設計者は部品の仕様を決めたり、コストも考えないといけません。
クレームの対応
製品が市場に出た後に、問題が見つかることもあります。
主に顧客対応は営業部門・サービス部門・品質保証部門が行いますが、設計者もクレーム対応を行い、どこに問題があったのか調べる必要があります。
- お客様がスペックを超えた使い方をしたか
- ある条件では製品がスペックを満たさないのか
- 構造的な欠陥がある設計だったのか など
いろんな可能性を考えて原因追求しなくてはなりません。
製造業のメーカー設計が激務でつらい理由
①他社と差別化しなければならない
設計部門は他社製品との差別化を図るため、新しいアイデアや技術が求められます。
たとえば、自動車や電子機器などの分野では、新機能の追加やより効率的な設計が必要です。
厳しいスケジュールのなか、ユーザーのニーズに合った機能の設定が求められます。
差別化しようと考える時間が増えるにしたがって工程が遅れ、設計者にとってストレスの原因となります。
②製品の不具合対応が大変
製品が市場へ出たあとに問題が発生すると、サービス部門や品質保証部門だけでなく、設計部門に大きな負担がかかります。
製品の不具合が見つかると、図面や仕様確認などの原因調査を早く進めながら対応方法を決める必要があります。
こうした不具合対応では激務になりやすく、かなりストレスがたまることになります。
③後工程に影響が出るプレッシャー
設計は生産工程の始めなので、設計段階でミスがあると、生産に影響したり事故を引き起こす可能性があります。
たとえば、自動車部品の設計ミスがあると次のような問題が発生します。
- 不適切な部品が納入される
- 組み付けられない
- 製品が作動しない
- リコール など
設計がほんの少し間違うだけで、その後の調達・製造・品質すべてに影響が出てしまいます。
重要な仕事であるため、設計段階での綿密なチェックが必要となりつらく感じてしまいます。
④業務量が幅広く休日出勤や残業がある
メーカー設計の仕事は、図面作成だけにとどまりません。
実際の仕事は……
- お客様の要求仕様の確認
- 原価計算(積算)
- 購買先からの問い合わせ対応
- お客様からの問い合わせ対応
- 試作品の評価や性能テスト
- 製品の改善
- 社内外の打ち合わせ など
このように幅広い業務をこなします。
特にピークを迎える時期には、業務が重なり、企業によっては40時間以上の残業や休日出勤もあります。
⑤他部署からの厳しいフィードバック
設計者は品質管理、営業、調達・購買といった他部署と連携しながら仕事を進めます。
しかし、これらの部門からのフィードバックが時に厳しく、改善要求が多いこともあります。
特に設計段階で見落とされた点が後に問題として浮かびあがると、他部署からのクレームが集中し、精神的にツラく感じてしまいます。
「なんでこんな設計にしたの?」
「ちゃんと検証したの?」
こんな批判的な意見に負けず、しっかり事情を説明する力もつけていく必要があります。
⑥成果が見えづらい
設計者の仕事は、製品が市場に出るまで長い時間かかるため、毎日の努力がすぐには評価されにくいです。
営業であればどれだけ受注したか、調達であればどれほどコストダウンできたかなど、数字で表れるので評価がされやすいです。
しかし、設計部門は数値で表しにくく評価が遅れるため、キャリアアップが思うように進まないこともあります。
結果的に、モチベーションを保つことが難しくなるケースも少なくありません。
設計は製造業にとって重要であるにもかかわらず、非常に成果が見えづらいのです。
激務と言われるメーカー設計の仕事内容
①コスト計算する積算作業
メーカー設計者の仕事には、製品コストを計算する「積算作業」が含まれます。
材料費、製造工程、組み立てにかかる費用などを正確に見積もることで、製品が利益を生むかどうかを見極めることができます。
この原価を足し合わせた金額と、営業部門の販売金額の差が利益となります。
②製品の根幹となる図面作成
設計者のメイン業務は製品の図面作成です。
図面は単に製品の見た目を示すだけでなく、詳細な寸法・材料・スペックなどすべての情報を含むものです。
https://www.isc.meiji.ac.jp/~re00111/contents/H01_Piston.pdf
そのためミスなく正しい情報を記載しなくてはなりません。
また、3D-CADというソフトを使用して立体的な設計を行うこともあります。
https://www.caddata-factory.com/proven.html
実際の業務では全くの白紙から図面を書くことは少なく、図面を一部流用しながら細かい仕様をCADで修正していくような作業になります。
③不具合時の対応
製品開発中や市場に出た後に不具合が発生した場合、設計者はすぐに原因を調査し、対策案を考える必要があります。
品質保証部門や営業部門と一緒に原因特定や再発防止を考えます。
実際に何十社と企業を見てきましたが、製品を熟知している設計部門がメインの説明となって不具合発生時に対応することがほとんどでした。
④設計変更の対応
開発中でも生産途中でも、仕様が変更されることは少なくありません。
お客様からの要望や生産性の点から設計が何度も見直されることがあります。
- 不具合の対策を反映
- 構成部品の生産中止
- 組み立て性の改善 など
設計変更が頻繁に行われると、もともと組まれたスケジュールが大幅に変更され、業務が後ろ倒しになることも。
限られた時間の中で、変更しても製品に問題がないのか徹底的に調べなければいけません。
⑤各問い合わせ対応
設計部門は社内外からの問い合わせにも対応しないといけません。
- お客様の技術部門
- 購入先の技術部門
- 自社の製造・購買・サービス・品証部門
製品仕様に関する質問や、生産部門からの技術的な確認などの問い合わせがあります。
このような問い合わせに対して迅速かつ的確に対応しサポートを行います。
メーカー設計が激務でつらかった経験談
20代の頃、僕は機械メーカーの設計として図面を描いていました。
現場の状況に合わせながら機械を据えつける架台を設計したり、電気配線をカスタマイズするといった作業です。
工程はかなりタイトで応援者もおらず、1人で夜中2時まで図面を書くという生活を1ヶ月間やっていて本当に倒れそうでした。
手当もつかないブラック企業だったので組織がしっかりしている会社へ転職し、今では労働時間や福利厚生が充実している別の機械メーカに勤めています。
この記事を読んでいただいてるあなたも、ぜひ健全な企業へ転職いただきたいです。
激務を乗り越えた先にあるやりがい
困難を乗り越えた達成感
メーカー設計の仕事は、長い時間をかけて製品を作り上げる大変な作業です。
製品ができあがるまでにはアイデアを具体的な形にして、細かい部分まで注意を払い、たくさん試行錯誤します。
しかし、問題解決や修正を何度も重ねることで、大きな達成感を得ることができます。
自分が手掛けた製品を街中で見かけたり、実際のユーザーから「ありがとう」と言われると、頑張ってよかったと感じられます。
技術と経験がキャリアの強みに
設計の仕事を続けることで、高い技術力と経験を積むことができます。
すると、自分の強みとなって他の会社でも通用するようなスキルが身につきます。
- CADスキル
- 図面の読み方
- 電気品や油圧品の知識
- 細部まで考える思考力 など
将来的には転職やキャリアアップに役立ち、どんな場所でも活躍できる力を持つことができるのです。
自分のアイデアを製品に込められる
設計者の仕事では、自分のアイデアを製品に反映させることができます。
自分が「こうした方が良い」と思った工夫が製品に活かされ、その製品がユーザーの手助けになります。
たとえば、使いやすい家電製品や安全な自動車部品など、設計者のアイデアが入った製品は多くの人に喜ばれます。
メーカー設計者が激務を乗り越える方法
業務を正確に管理する
設計の仕事は複雑で、同時に色んな作業をこなさないといけません。
そのため、それぞれの仕事をうまく管理して優先順位をはっきりさせることが大切です。
自社の工程だけじゃなくお客様の工程も考えて計画を立て、毎日進捗を確認しましょう。
計画的にタスク管理することで、ムダな作業を減らし効率をあげることができます。
チームワークと協力体制
機械設計はチームで取り組むことが多く、チームワークの質が仕事のスムーズさを左右します。
設計部門のなかで情報共有して助け合うことで、効率的に仕事が進みます。
定期的なミーティングや積極的な意見交換を行い、コミュニケーションを円滑にすることも効果的です。
業務の負担が個人に集中しすぎず、ストレスを減らすことができます。
学び続ける姿勢をもつ
新人や経験の浅い設計者が抱える問題のひとつに、「質問をためらう」というものがあります。
しかし、疑問をそのままにしておくと知識が増えていくことはありませんし、後に技術的な大きな問題に発展する可能性もあるのです。
失敗を恐れず上司や先輩にどんどん質問しましょう。
疑問の解消をくりかえすことで知識を深め、さまざまな分野で通用するスキルが身につきます。
働き方の見直しと転職を検討する
どうしても仕事の負担が大きく、自身の健康やプライベートに悪影響があるなら、働き方を見直すことが必要です。
まずは勤務地や部署を変更してみて、それが難しい場合は転職を検討するのもひとつの選択肢です。
メーカー転職では製造業に特化した転職エージェントを利用することで、自分に合った働きやすい職場を見つけやすくなります。
製造業の転職エージェントを利用するメリット
詳しい専門知識がある
製造業の転職エージェントは、業界の事情や企業のニーズに詳しい専門家です。
一般的な求人サイトでは得られない、業界特有の詳細情報や内情についても教えてもらえることがあります。
たとえば、企業文化や職場の雰囲気、設計者としてのスキルの活かし方など、個別のアドバイスを受けることで、ミスマッチを防ぐことができます。
これにより、希望に合った企業を見つけやすくなり、転職後の満足度も高まります。
非公開求人を紹介してくれる
転職エージェントを利用すると、一般の求人サイトに掲載されていない「非公開求人」に応募できる点も大きなメリットです。
多くの製造業の企業は、競争が激しいため、特定のポジションは非公開で募集することがあります。
これらの求人は、より条件の良いものやキャリアアップにつながる機会が多く、転職エージェントを介してのみ応募することができるのです。
一般公開すると様々な人から応募され、こうリウの良い採用活動ができません。非公開求人によって、企業は厳選された人の中からぜひ入社して欲しい人を効率よく探すことができるのです。
書類作成や面接対策のサポート
エージェントは、応募書類の書き方や面接の準備についてもサポートしてくれます。
製造業の設計職では、履歴書や職務経歴書において技術的な経験をわかりやすく伝えることが重要です。
エージェントのアドバイスを受けることで、これらの書類を効果的に作成し、企業側に自分のスキルを正しくアピールできます。
また、面接対策では、実際に出されやすい質問や回答のポイントなども教えてくれます。
交渉やサポートが充実している
転職活動では、給与や勤務条件などの交渉が必要になることもあります。
製造業の転職エージェントは、候補者に代わってこれらの交渉を行い、より良い条件を引き出すサポートをしてくれます。
また、転職活動全般の相談にも応じてくれるため、不安や悩みを解決できるメリットがあります。
転職活動を効率化できる
仕事をしながら転職活動するのは大変です。
しかし、転職エージェントを利用することで、求人探しから面接調整まで代行してもらえるので、効率的に転職活動を進められます。
「求人を探す時間なんてないよ…」という忙しい人にもおすすめです。
まとめ
- 設計部門はメーカー企業の根幹
- 開発から不具合対応まで幅広い業務
- 企業によっては激務だが大変やりがいがある
以上がメーカ設計の仕事内容です。
設計部門は製造業やメーカーにとって非常に重要な部署です。
大変なこともありますが、それ以上にやりがいや達成感を感じられる仕事ですね。
間違いなく企業を支える部門ですので、ぜひチャレンジしてみてください。
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