購買部・調達部

【保存版】調達・購買部門の魅力的なやりがいとは?製造業で10年以上経験した筆者が実体験をもとに徹底解説!

調達・購買部門のやりがいを経験者が徹底解説した記事のアイキャッチ画像

『調達部門のやりがいってなに?』

『購買部門の経験者の話が聞きたい!』

『実際の仕事のやりがいを教えてほしい!』

調達・購買部門は他の部署と比べて有名ではありませんが、非常にやりがいのある部門です。

材料や部品を調達しないと、そもそも自社製品が作れないから。

本記事では実体験を含めて具体的なやりがいを解説しています。

この記事を読んでいただくことで、調達・購買業務がイメージでき、あなたに合った仕事なのか知ることができます。

本記事のまとめ
  • 調達・購買部門は非常に幅広くやりがいがある
  • 会社の財布を握っている重要な部署
  • 自社製品を作るために必要な業務
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製造業における調達・購買部門のやりがい9選

まずは一般的に言われる調達・購買部門のやりがいについてご紹介します。

調達・購買部門のやりがい9選

①品質向上・コスト管理に貢献

製品を作るために必要な材料や部品などを調達することが、購買部門の主な仕事です。

この仕事を通じて、製品の品質向上や生産性の向上、コスト削減に貢献することができます。

例えば、同じ品質の材料をより安く手に入れることができたら、それによってコスト削減ができます。

製造業では『Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)』の頭文字を取って、QCDが重要だと言われます。調達業務ではそれら全てに携わることができるのです。

②交渉力を発揮できる

材料や部品を調達するために、取引先と交渉することがあります。

そのため、交渉力やコミュニケーション能力が必要となります。

例えば、取引先が値段を引き上げたり、品質の低い材料を提供した場合には、しっかりと交渉する必要があります。そのためには、交渉力やコミュニケーション能力を高めることが大切です。

③市場分析による判断力が養える

購買部門では、市場調査や競合分析、品質管理などの業務を行います。

この仕事を通じて、ビジネスセンスや判断力を養うことができます。

例えば、自社が扱っている材料や部品が、市場でどのような位置づけにあるかを把握することができます。

また、競合他社がどのような材料や部品を扱っているのかを分析することで、自社がどのように差別化するかを考えることができます。

④全体最適を考える力が養える

ご存知のとおり購買部門では、調達先の選定や購買計画の策定など、製造や販売に必要な物品の調達を担当することになります。

そのため、物流や生産管理などの他部門との連携が不可欠であり、企業内のシステムやプロセスを理解し、全体最適を考える力が求められます。

⑤自分の業務が会社全体に影響を与える

購買部門は、製品の原材料や部品を調達することで、企業の生産に欠かせない役割を担っています。

そのため、調達部門の業務が企業の成長戦略に直結することが多くあります。

例えば、調達部門が適切な調達先を選定することで、製品の品質向上や生産性向上、コスト削減を実現することができます。

また、製品の新規開発や新市場進出に伴い、新たな調達先を開拓することも調達部門の役割の一つです。

自分の業務が企業全体に与える影響を実感することができ、やりがいを感じることができるでしょう。

⑥社会的に意義ある業務を担える

現代では、企業に対して社会的責任を求める声が高まっています。

そのため、企業がCSR(Corporate Social Responsibility)を遵守することが求められるようになりました。

調達部門も例外ではありません。

調達先を選定する際には、CSRやサプライチェーンのリスクマネジメントを考慮することが求められます。具体的には、人権や環境に配慮した調達先を選定することや、災害や紛争などのリスクを回避するための対策を講じることが求められます。
社会的に意義のある仕事を担当するので、やりがいを感じることができます。取引先と話をすると本当に学ぶことが多いです。

⑦会社の戦略的課題に取り組める

企業の存続には常に新しい商品・技術の開発が必要です。

購買部門は、製品に必要な部品や素材の調達先を探し、新しい商品・技術の開発に必要な調達先の開拓に貢献することができます。

また、調達先の多様化によってリスク分散も可能になります。調達先の多様化は、市場環境の変化に対応するためにも重要な課題です。

これらの課題に取り組むことで、企業の成長に寄与することができます。

⑧リーダーシップを発揮できる

購買部門は、物流や生産管理などの他部門と密接に連携する必要があります。

それには、チームワークやリーダーシップなどのコミュニケーション能力が必要です。

製造業では、生産管理や物流などの他の部門との連携が重要なため、チームワークやリーダーシップを発揮する機会が多く、自己成長に繋がることができます。

⑨グローバルスキルが身につく

現代の製造業はグローバル化が進んでおり、海外取引先との交渉や契約締結などの業務が増えています。

これに対応するため、国際的なビジネススキルが求められます。

グローバル化によって海外の調達先の開拓や海外展開にも取り組むため、国際的なビジネススキルを身に付けることができます。

最初はもちろん緊張しまくりですが、外国人との交渉は非常に良い経験になります。

以上のように購買部門は、企業の発展にとって欠かせない役割を果たしています。

筆者が調達・購買業務で特に感じたやりがい

実際に僕が業務を担当してみて、特に感じたやりがいを5つ紹介します。

それでは詳しく見ていきます。

①価格交渉が自社の利益に直結する

調達部の価格交渉によって購入価格を下げることができれば、その分ダイレクトに利益が増えることになります。

利益(営業利益)は売値(総利益)から原価を引いた金額

利益(営業利益)=売値(純利益)ー原価

売値(純利益)を上げてもらうのは営業部門にお任せして、調達部門の仕事はこの原価をいかに減らせるかが重要になります。

僕の経験談ですが、以前勤めていた業界は全体的に縮小傾向にあり小さなマーケットを複数の企業が競争しているようなところでした。そういうマーケットだと価格競争になり売値が低くなりがちです。

そこで利益を確保するために調達部門の価格交渉力が必要になってきます。

売値が低下しても原価を抑えることができれば利益は確保できます。

資材や原材料を調達する場合は大量ロットで購入することが多いため、鉄などの資材原価が1円/kgでも上がったらかなりのコストアップになってしまいます。既製品を調達する場合でも、複数の会社から相見積もりをとったり荷姿を変更したり納入回数を減らすなどしてコストダウンに取り組む必要があります。

②ものづくりに携わることができる

製造業にとって調達部品は生命線です。

部品がないと自社製品が作れず販売できません。

たとえば運転席周りだけ見てみてもたくさんの部品があります。

搭載部品の例
  • シート
  • ハンドル
  • パワーウインドウ
  • タコメーター
  • レバー
  • シートベルト
  • ボルトナット類など
車の運転席のパーツ例車両の部品例

これらを漏らさず手配し納期通りに検収をあげることによって会社の生産が支えられています。

何万、何十万といった部品数で構成される製品もあります。一つ一つに対して発注や検収処理をしなければならないため処理能力も重視される業務になります。

③下請法や契約に詳しくなれる

中手〜大手の調達部門になると、取引先の資本金が少ない場合は下請法が適用されます。

〜下請法とは〜

親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律です。(引用:公正取引委員会

たとえば資本金3億円以上の企業3億円以下の企業に対して優越的地位の濫用が起こらないよう厳しく法律で決められています。(他にも資本金1000万円の場合などいろんな条件があります。詳しくはこちら

実際に業務をしていくと注文書や基本契約書に細かい条件を目にすることがあります。

〜基本契約書とは〜

継続して取引するときの項目をまとめた契約書です。具体的には下記の項目が記載されています。

  • 契約当事者の情報
  • 契約の目的
  • 契約期間
  • 支払い条件
  • 納期と履行義務
  • 保証または保証事項
  • 権利と義務
  • 秘密保持契約(NDA)
  • 契約解除条件・・・など

通常業務を行う中でこのような法律に詳しくなることができます。

④輸入業務に詳しくなれる

海外から部品を調達する場合、輸入業務に必要な知識をつけることができます。

国内の運送とは違い、保証や渡すタイミングなどが明確に分かれた契約になっています。

インコタームズ 貿易条件

(引用:SHIP HUB

これはインコタームズという貿易に関する条件です。

輸入という作業だけとってみても、コスト・リスク・保険をどちらがどこまで負担するかが契約によって細かく分かれています。

普段の生活ではあまり馴染みがないと思いますが、こういった契約にも詳しくなります。

より深く知識をつけていけば通関士といった資格も取得可能です。

⑤英語スキルが上がる

海外メーカーと交渉する際は英語力が必要になります。

英語ができないから海外調達なんて無理だよ
僕は全然英語が得意じゃなかったんですが、メールや交渉を繰り返しやっていくと何とかなりました。むしろレベルアップしていると実感できるので楽しくなってきますよ!

英語が不安だと思う方も、実際の業務をやっていくうちに慣れますので自信をつけていけます。

もし転職することになっても、そういったスキルはかなり強い武器になりますね。

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やりがいのある調達・購買部門に向いてる人

中小企業から大企業までの経験から、調達部門に向いてる人の特徴を挙げます。

では詳しく見ていきましょう。

普段から安い買い物を心がける人

購買業務は「どれだけ安く買えるか」がポイントです。

そのため普段からコストダウンの意識を持った人が非常にマッチします。

ネットで商品を買うときも最安値を調べまくる人や、相見積もりをとったりする人にはぴったりな仕事です。

安く買う癖のある人へかなりおすすめしたい部署です。

数字や計算に強い人

取引先から提出される見積書は正確に読み取れなければなりません。

従来からこそっと値上げされてる可能性も0ではないからです。

例えば『人件費の影響で値上がりしている』とよく聞きますが、どの国でどれほどの給料で何名ぐらいの工場なのか、計算する必要があります。

そんな細かいところまで面倒くさすぎるよ!
調達部門は会社の財布を握っています。それほど真剣にコストには注意しなければなりません。

取引先にもメリットのある交渉ができる人

価格交渉は頭ごなしに「安くしろ!」というものではありません。

それでは取引先が一方的に我慢することになり、長いお付き合いができないからです。

例えば、『年間発注量を〇〇ほど増やすから発注ロット単価を安くして欲しい』といった交渉は有効です。

取引先にとっても自社にとっても嬉しいですよね。

お互いが納得できる落とし所を見つける必要があります。

レスポンスが早い人

調達・購買部門に限りませんがレスポンスが早い人ほど向いています。

部品の調達が遅れたら自社製品が作れませんよね。

たとえば部品不良があったときはすぐに調達先から代品を手配しなくてはなりません。ノロノロしていると製造部門や品質保証部門から督促されることになります。

クイックレスポンスが求められる部署になります。

常に危機感を持って働ける人

部品がないと自社製品は作れません。

安定した供給を実現させるため、常にリスクを考える必要があります。

たとえば、『取引先が災害で部品供給が間に合わない!』なんてことになったら一大事です。

取引先と一緒に供給可能数を調べ、必要に応じて他者へ並行発注しなければなりません。

いつもアンテナを高く張らないと大問題になってしまいます。

調達・購買部門の仕事がつらいケース

もちろんやりがいだけではありません。

つらい業務もありますのでご紹介します。

納期が確保できないとき

購買担当者はしばしば納期遅延で苦しみます。

  • 取引先から納期がズレると連絡があった
  • 取引先の資材調達が困難で部品が作れない

工程に影響はないのか確認したり、いつどれくらい必要なのか、生産管理部との調整が必要になります。

取引先の問題じゃないの?調達担当が困る必要ないと思うけど。
調達担当になると安定して部品供給することに責任を持ちます。取引先の都合だからといって無視できず、調達担当は責任持って対応しなければなりません。

誤った判断は企業に影響を及ぼす可能性があるため、非常にプレッシャーがかかるときがあります。

取引先と社内の間で板挟みになるとき

購買部門は取引先と社内の板挟みがよくあります。

設計・製造・品証の希望する品質やスペックがある一方で、取引先にも限界があります。

取引先が『もう取引やめる!』なんてことにならないよう、両者の要望をバランスとって調整する必要があります。

取引先が事故や災害にあったとき

取引先が突然の事故や自然災害に遭遇すると、購買担当者は急遽対応策を講じなければなりません。

このような状況はストレスを引き起こす可能性があります。

まとめ

  • 調達・購買部門は非常に幅広くやりがいがある
  • 会社の財布を握っている重要な部署
  • 自社製品を作るために必要な業務

あとがき

調達部のポイントは以上になります。

自分にはどんな職種が合ってるんだろう?と気になる方はこちらの記事もご覧ください。無料で使える適職診断サービスをまとめています。

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