品質保証の仕事は責任が重く、トラブルがあれば真っ先に矢面に立たされる立場です。
それにもかかわらず、「年収が低い」「評価されにくい」と言われることがあります。
実際、同じ技術系職種でも設計や開発と比べて待遇に不満を感じている人は少なくありません。
では本当に、品質保証は収入面で不利な職種なのでしょうか?
この記事では、品質保証職の平均年収や業界別の相場、年収が上がりにくい構造的な理由、そして収入アップにつながるキャリア戦略までを詳しく解説します。
「今の給料に限界を感じている」「もっと評価されたい」と感じている方は、ぜひ参考にしてください。
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品質保証の年収は本当に低いのか?【平均と実態】
品質保証の仕事は「責任が重いわりに年収が低い」と言われがちですが、実際の数値はどうなのでしょうか。ここでは、品質保証職の平均年収や他職種との比較を見ていきます。
品質保証職の平均年収(民間データより)
民間の転職サイトや厚労省の調査をもとにすると、製造業における品質保証職の平均年収は約400万円〜550万円程度がボリュームゾーンです。
経験年数や企業規模によって幅はありますが、おおよその目安は以下のとおりです。
経験年数 | 年収の目安 |
---|---|
20代(新卒〜5年目) | 350万円〜450万円 |
30代前半 | 450万円〜550万円 |
30代後半〜40代 | 500万円〜650万円 |
課長クラス以上 | 600万円〜750万円程度 |
また、大手求人サイトリクナビNEXTをみると、品質保証職の年収分布は次のとおりです。

ばらつきはあるものの、品質保証の年収は日本の平均年収460万円より全体的に高い傾向にあります。
品質管理・製造職との比較
同じ「品質系」の職種である品質管理職と比較すると、年収水準は近い傾向があります。ただし、工場勤務の比率が高い品質管理職よりも、品質保証職は本社勤務・顧客対応・英文資料対応が増えるため、やや高めの傾向になる場合もあります。
一方、製造・生産管理系の現場職と比較すれば、品質保証職のほうが年収レンジは上です。ただし、設計職や営業職(インセンティブあり)と比べるとやや低めと感じるケースが多いです。
年収が低いと感じる要因は「比較」にある
品質保証の年収が特段低いわけではありませんが、他部署との待遇差や成果が評価されにくい構造により、不満を感じる人が多くなっています。
とくに以下のようなケースでは「損をしている」と感じやすくなります。
- 同じ年代の営業や設計が明らかに高年収
- 製品トラブル時だけ責任を問われるのに報われない
- 成果が数値化されず昇給につながらない
業界・企業規模で年収はどう変わる?
品質保証職の年収は、業界や企業の規模によって大きく変動します。単に職種だけでなく、「どこで働くか」が収入に直結する点は見落とせません。
大手企業と中小企業での年収差
大手メーカーに勤める品質保証職の年収は、同年代の中小企業勤務者に比べて100万円〜200万円ほど高くなるケースがあります。
たとえば同じ30代でも、
- 大手メーカー(自動車・精密機器・インフラ系)で約600万円
- 地方の中小製造業では400万円台前半
といった差が見られます。
大企業では基本給や賞与だけでなく、福利厚生や家賃補助など年収以外の「実質収入」面でも優位です。
業界によって異なる年収の傾向
品質保証はあらゆる製造業で必要とされる職種ですが、業界によって求められる専門性と責任範囲に差があります。
特に年収が高くなりやすい業界は以下の通りです。
業界 | 傾向 |
---|---|
自動車(完成車・Tier1) | 安全基準が厳しく、品質対応力が重視され高年収傾向 |
医療機器・製薬 | QMSや法規対応が必須。英語・監査対応で年収高め |
半導体・電子部品 | グローバル規模の品質基準が求められ、技術力重視 |
食品・日用品 | 年収はやや低めだが、安定志向が強い |
海外案件・外資系はチャンスあり
英語対応が必要な外資系企業や、グローバルに製品を展開する日系企業では、品質保証職でも700万円以上の年収を得るチャンスがあります。
特に以下のような経験があると、市場価値が上がりやすくなります。
- ISO監査対応(9001/13485など)
- 英語でのクレーム・品質文書対応
- FMEAやQCストーリーなどの改善実績
「英語力」と「技術力」を兼ね備えた品質保証人材は、転職市場でも高く評価されやすい傾向があります。
品質保証職で年収が上がりにくい理由
品質保証職は製造業に欠かせない重要なポジションである一方、年収が思ったように伸びないと感じる人が多いのも事実です。その背景には、職種特有の評価のされにくさや、企業側の評価制度の構造的な問題が影響しています。
会社への「貢献度」が数値化しづらい
営業や開発と違い、品質保証は直接的な売上や利益を生み出す部署ではありません。トラブルを未然に防ぐという予防的な役割が大きく、「目に見える成果」が上司や経営層に伝わりづらい傾向があります。
そのため、どれだけ問題を未然に防いでも、「特に問題が起きなかったね」で済まされ、評価につながらないことも少なくありません。
トラブル時にだけ責任を負わされやすい
逆に、何かトラブルが起こると品質保証が原因でなくても責任を問われることが多く、組織の中で「損な役回り」とされがちです。
さらに、クレームや不具合対応など、心理的にハードな業務が多いにもかかわらず、それが「通常業務」とみなされてしまい、評価・手当の対象にならないこともあります。
上が詰まりやすくポストも少ない
品質保証部門は組織としての規模が小さめなことが多く、課長以上のポジションが限られているため、昇進のチャンスが少ないという課題もあります。
- 製造や営業は部門人数が多く、マネージャーポストも豊富
- 品質保証は数人〜十数人規模で動くことが多い
このように「評価されにくい」「ポストが少ない」という2重の壁が、年収が伸びづらい構造を生んでいます。
年収を上げるためのキャリア戦略
品質保証職で年収を上げるには、ただ今の会社に残り続けるだけでは限界があります。評価されにくい構造を理解した上で、自分自身の価値を高めるキャリア戦略が必要です。
管理職ルートを目指すなら「社内評価の言語化」が鍵
品質保証で年収を上げる王道は、課長・部長クラスへの昇進です。ただし、成果が見えにくい職種だからこそ、「自分の仕事がどう会社に貢献したか」を定量・定性でアピールできる力が求められます。
たとえば:
- 不具合発生件数の低減率
- 工程変更に伴うリスク評価の実施件数
- 外注先監査や改善指導による品質向上
こうした実績をまとめておくことで、上司からの評価がブレにくくなります。
設計・開発寄りのスキルを身につけて市場価値を上げる
品質保証の枠にとどまらず、製品設計やプロセス設計とのつながりを深めることで、スキルの幅が広がり、年収交渉でも有利になります。
以下のようなスキルが評価されやすくなります。
- 設計図面の読み取りと設計変更の妥当性評価
- 新製品立ち上げ時の工程FMEAやPPAP作成
- VE(価値工学)や原価企画への参画
こうしたスキルを習得すれば、開発・技術系とのハイブリッド人材として企業内外での市場価値が高まります。
転職を視野に入れたキャリア設計も現実的
現職でこれ以上の昇給が見込めない場合は、転職によって環境ごと変えるのが年収アップへの近道になることもあります。
特に以下のような企業は狙い目です。
- 品質保証が「売上貢献職」として明確に評価される企業
- 年功序列ではなく、職能・成果評価型の報酬体系
- 英語力や品質工学スキルに対して手当がある外資系や成長企業
自社内で積み重ねた経験を活かしつつ、収入を大きく伸ばすには「タイミングと転職先選び」がカギとなります。
年収アップを狙える転職先の特徴
品質保証職で今より高い年収を目指すなら、転職先の選び方が非常に重要です。企業によって「品質保証に対する評価の高さ」や「報酬制度」がまったく異なるため、適切な見極めが求められます。
品質保証を重視する企業は報酬も高い
製品の信頼性が収益に直結する業界では、品質保証が経営上の重要ポジションとして位置づけられており、年収も高くなる傾向があります。
たとえば以下のような業種では、品質保証経験者が好待遇で迎えられやすいです。
- 自動車・医療・インフラなど安全性重視の業界
- 海外展開しており品質基準が厳格な企業
- クレームやリスク対策が利益に直結する高単価製品メーカー
年収テーブルや評価基準が明確な企業を選ぶ
同じ職種でも、企業によって昇給スピードやベース給与には大きな差があります。
年功序列ではなく、実績評価型の企業を選ぶことで、キャリアを活かして一気に年収を伸ばすことが可能です。
以下のような企業文化を持つ会社は、品質保証職にも年収アップのチャンスがあります。
- ジョブ型雇用や役割等級制を導入している
- 成果指標(KPI)や行動評価が制度化されている
- 品質改善や監査結果が人事評価に反映される
ISO対応・品質DXが進む企業は狙い目
近年では、ISOやIATFなどの品質認証や、BIツールによる品質データの可視化など、品質部門の業務が高度化・IT化している企業も増えています。
こうした企業では、従来のクレーム対応にとどまらない「攻めの品質保証」が求められており、それに見合う報酬が用意されている場合もあります。
今後の成長が見込める会社かどうかを、制度・体制・投資の観点から見極めることが重要です。
品質保証に強い転職エージェント3選【収入アップに強い】
年収アップを本気で目指すなら、自分ひとりで求人を探すよりも、製造業に特化した転職エージェントを活用した方が効率的です。
ここでは、品質保証の転職支援に強く、好待遇の非公開求人や年収交渉に実績があるエージェントを3つ紹介します。
①タイズ(Ties)|品質保証者におすすめのメーカー特化型エージェン

タイズは、製造業・メーカー領域に特化した転職エージェントです。
とくに品質保証や品質管理の求人に強く、関西の大手メーカーとのつながりが豊富な点が特長になります。
特徴 | 内容 |
対応エリア | 全国対応(関西に強み) |
得意業種 | 製造業・メーカー(特に品質保証・品質管理) |
非公開求人率 | 約80%が非公開求人 |
サポート満足度 | 92%以上の利用者が「満足」と回答 |
実際に利用して良かった感想
- 品質保証職に精通したキャリアアドバイザーが在籍
- 企業ごとの面接傾向や通過率などの内部情報が豊富
- アナログマッチングにより、入社後のミスマッチが少なく安心して転職できる
気になった点
- メーカー以外の求人は少ない
- アプリの使い勝手は改善の余地あり
製造業の品質保証としてキャリアを深めたい方や、現場との相性を重視したい方には、非常におすすめの転職エージェントです。
②メイテックネクスト(Meitec Next)|技術系品質保証に強い専門エージェント

メイテックネクストは、製造業・技術職に特化した転職エージェントです。とくに品質保証・品質管理などの技術領域に強く、常時20,000件以上の技術職求人を保有しています。
特徴 | 内容 |
---|---|
専門性 | 技術系(機械・電気・化学)出身のアドバイザーが在籍 |
求人件数 | 技術職求人が豊富、品質保証・品質管理案件も多数 |
対象エリア | 全国対応 |
実際に利用して良かった感想
- 技術出身のアドバイザーが現場目線での相談に対応(求人選定・面接対策)
- 品質保証案件の数が多く、希望に合う企業を複数紹介してもらえた
- 書類添削や面接練習に定評があり、サポート体制が手厚い
注意すべきポイント
- 技術職以外の求人は非常に少ないため、品質保証/開発など技術職以外の選択肢がない
- 担当者との相性にバラつきがあるという口コミあり
- 地方では求人が少ない可能性もあるため、希望勤務地に注意が必要
製造業・品質保証分野でキャリアを深めたい方、特に技術出身同士のコミュニケーションを希望する方にとって、非常に心強い専門エージェントです。
年収アップや上場メーカーへのステップアップを狙う人にも適しています。
③みらいキャリア(Mirai Career)|東海エリアの製造業に特化する地元密着型エージェント

みらいキャリアは、愛知・岐阜・三重など東海エリアのメーカーに特化した転職支援サービスです。
2014年に設立され、それ以降モノづくり企業との信頼関係を築き、地域密着×製造業特化の強みで注目されています。
特徴 | 内容 |
---|---|
対応エリア | 愛知・岐阜・三重を中心に全国対応 |
求人特性 | 東海のメーカー・製造業に強く、品質保証・管理案件が豊富 |
サポート体制 | 初回~面接~入社後までアドバイザーが密に伴走 |
利用者評価 | 「求人がピンポイントに合ってる」「丁寧な相談」が高評価多数 |
実際に利用して良かった感想
- 地元企業ならではの求人が多く、大手にはない独自案件に出会いやすい
- アドバイザーとの連絡が密で親身という口コミが多数
- 書類添削や面接対策が丁寧で、はじめての転職でも安心
注意すべきポイント
- 東海エリア以外の求人は少なめ
- 全国展開型の求人を探す人や、異業種志向の人には物足りない可能性あり
東海圏で製造業や品質保証の仕事を考えている人、地元志向の強いU・Iターン希望者、初めての転職で手厚いフォローを求めている人には特におすすめです。
僕の体験談:転職で品質保証に入り、年収が2倍近くに
僕自身、もともとは別の技術職として働いており、当時の年収は300万円台後半。
毎月90時間以上の残業をこなしても、年収はなかなか上がらず、将来に不安を感じていました。
「このままで本当にいいのか」と悩んだ末、29歳のときに品質保証部への転職を決意。
現場対応やクレーム処理などプレッシャーのある仕事でしたが、製品の品質を守るという責任にやりがいも感じていました。
その後、着実に経験を積み、品質保証の中でも幅広い業務に関わったことで、評価される機会も増えました。
現在では年収は800万円近くまで上がり、「転職して正解だった」と実感しています。
もちろん簡単な道のりではありませんでしたが、品質保証という仕事の価値を正しく理解し、自分の経験を活かせる環境を選んだことが、収入アップにつながったと感じています。
まとめ:年収に限界を感じたら、環境を変える選択も
品質保証の仕事は、責任の重さに対して評価されにくい構造的な課題を抱えています。真面目に働いても給与が伸びず、モチベーションを維持するのが難しいと感じている人も多いでしょう。
もちろん、社内で実績を積み上げて昇進を目指す道もありますが、それだけでは限界がある場合もあります。自分のキャリアや市場価値を見直し、「環境を変える」という選択肢を持つことは、決して後ろ向きではありません。
特に、品質保証に力を入れている企業では、報酬や働き方の面でも納得感のある環境が用意されています。
「今よりもっと評価される場所で働きたい」と感じたときこそ、行動を起こすタイミングです。
自分の経験やスキルが正当に評価され、年収アップにもつながるような職場を目指して、まずは転職エージェントなどを通じて情報収集を始めてみてはいかがでしょうか。
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