- 購買部って何をしてるの?
- 花形って言われるのは本当?
- 実際に経験した人の話を見たい!
調達・購買部門はおもに事務作業ですが、実は会社にとって非常に重要な部署なのです。
なぜなら会社の『財布』を握っているから。
この記事ではリアルな体験談を踏まえて調達部門の業務内容をまとめています。
調達部門の仕事を知り、製造業の転職を成功させましょう。
- 調達部門は会社の財布を握っている
- 利益に大きく影響する仕事
- 納期通りに安く買うことが最優先
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メーカーの調達・購買部門とは?
「調達部門・購買部門」とは製品に必要な部品等を購入する部門です。
自社製品を作り上げるためには、元になる部品を買ってきて組み立てないといけません。
サプライヤーから部品や材料を購入することで、機械を完成させることができます。
なお、調達部門が直接やりとりする相手は仕入れ先の営業部門になります。
メーカーにおける調達・購買部門の仕事内容とは?
調達・購買部門には主に次の7つの業務があります。
調達・購買部門は、自社製品に必要な部品などを購入する重要な役割があります。
具体的に仕事内容を見ていきましょう。
①取引先の与信評価や新規開拓
調達・購買部門では、信頼できる取引先か確認するために「与信評価」を行います。
信頼できる取引先を選定することで、トラブルを未然に防ぎ、安定した調達ができます。
- 品質が安定していること
- 価格が適正であること
- 納期を守る能力があること
- 会社の規模や安定性を確認する
- 長期的な関係を築けるか
いまのサプライヤーだけでなく、より良い条件の新規取引先を探すことで、コスト削減や品質向上を目指せます。
②発注内容の確認
まずは製品に必要な材料や部品について、設計や生産管理の手配リストに間違いがないか注意しながら発注内容を確認します。
- 数量
- 納期
- 仕様
- 購入先 など
発注内容が正確でないと、後工程でのトラブルや納期遅れにつながるので、しっかりチェックしないといけません。
③見積もり依頼
発注内容が決まったら、次は見積もり依頼を行います。
見積もり依頼とは、取引先に対して価格や納期の回答を求めること。
1番コストパフォーマンスが良い条件を見つけるため、価格・品質・納期・保証などを総合的に判断します。
④取引先との価格交渉
見積もりを受け取った後は、取引先との価格交渉が始まります。
企業の利益に直結するため、なるべく安い価格で交渉しないといけません。
ただし、長期的な関係を築くため、単に値下げを求めるのではなく、お互いにとってメリットのある取引条件を探ることが大切です。
⑤価格決定後の発注作業
価格が決定したら、注文書を発行します。
注文書には取引先へ価格や数量、希望納期などが含まれます。
⑥工程に合わせた細かい納期調整
製造現場の工程に合わせて、細かい納期調整を行うのも購買部門の重要な仕事です。
たとえば、生産が1週間早まったら、そのぶん納入時期も前倒しして調整しないといけません。
生産ラインがストップしないように納期を守る必要があります。
⑦受け取った証明となる検収処理
注文した部品や材料が届いたら「検収処理」を行います。
これは、納入されたものが注文通りの仕様と数量であるか、現品をみて確認する作業です。
検収が完了すると、正式に受け取ったことになり、取引先へ支払い処理されます。
調達・購買部が花形と言われる魅力とは?
調達部は原価に大きく影響して利益に直結するので「会社の花形」と呼ばれることもあります。
具体的にポイントを見ていきましょう。
会社の利益に直接貢献できる
調達・購買部の最大の魅力は、会社の利益に直接貢献できることです。
コスト削減を通じて、会社全体の利益率をアップさせることができます。
たとえば、材料費を数パーセント削減するだけで、生産量によっては数百万〜数千万ほど利益が変わります。
コストダウンする努力が利益アップの結果に結びつく実感があります。
交渉のスキルが磨かれる
調達・購買部では、取引先との打ち合わせが毎日のように行われます。
そのため交渉力が自然と身につき、コスト削減や取引条件の改善につながり、会社にとって大きなメリットを生み出せるようになります。
- 価格交渉
- 納期調整
- 不具合品の保証 など
交渉はどの会社でも活かせるスキルですので、あなたの市場価値を上げることができます。
グローバルに活躍するチャンスがある
現代では多くのメーカーがグローバル市場に展開しています。
海外のサプライヤーとの取引や国際的な市場調査が求められることが増えているため、英語力や異文化理解が重要になります。
海外出張や現地での交渉を通じて、国際的なビジネススキルを磨くことができるのは大きな魅力です。
購買・調達部で身につくスキルとは?
購買・調達部で身につくスキルは、主に4つあります。
交渉力
購買・調達部の仕事では、サプライヤーとの交渉が毎日のように行われます。
たとえば、価格を下げたい交渉をするときは次のようにします。
- ボリュームディスカウントする
- 仕様を変更する
- 複数の取引先から相見積もりをとる
そのほかにも、納期を短縮したり、新規部品の依頼といった交渉もあります。
こうした交渉力が磨かれることで、会社の売り上げや利益につながります。
調査・分析力
市場の動向や価格の変化を正確に把握するためには、調査・分析力が重要です。
なぜなら最適なタイミングで材料を購入し、無駄なコストを避けることができるからです。
こうしたスキルによって、変化の早い世の中にも柔軟に対応できるようになります。
コミュニケーション力
購買・調達部では、他部署やサプライヤーとのやり取りが欠かせません。
たとえば、サプライヤーから買っているある部品が生産中止になり、その代替品の形状やスペックが少し違うことがあります。
その代替品を使っても本当に問題ないのか、設計部門や品質保証部門と打ち合わせを行わないといけません。
社内・社外の関係者と協力しながら、問題を解決することで対応力が身についていきます。
スケジュール管理能力
調達・購買の仕事では、材料が必要なタイミングに間に合うよう、発注と納品のスケジュールをしっかり管理する必要があります。
ちゃんと管理することで、納期の遅れを防ぎ、材料不足を避けることができます。
たとえば、突発的に生産工程が変更されたときにすぐサプライヤーと納期調整をして納期遅れを防げます。
安定した生産を支えるため納期に対して危機意識が高まります。
調達・購買部のやりがいを感じること
調達・購買部には達成感のある仕事がいくつもあります。
ここでは、やりがいを感じるポイントを具体的に紹介します。
成果が目に見える
調達・購買部の仕事は、会社の利益に大きく影響します。
コスト削減すると、その分がダイレクトに利益アップにつながります。
コスト削減の達成感
価格交渉を通じてコストを削減したり、相見積もりの活用でより安い取引ができた場合、その成果はすぐに会社の収益に反映されます。
自分の努力が数字として表れるため、仕事のモチベーションも高められます。
生産現場を円滑にサポート
必要な材料を適切なタイミングで調達することができれば、生産ラインの運営がスムーズに行われ、生産効率もアップします。
現場が止まらずに順調に稼働している様子を見ると、自分の役割の重要性を実感することができます。
チームで達成感を味わえる
調達・購買部の業務は、他の部署や取引先との連携が欠かせません。
製造部門、品質保証部門、設計部門など、さまざまな部署と情報を共有しながら業務を進めます。
また、サプライヤーとの長期的な信頼関係を築くことも重要です。
取引先と良好な関係を維持することで、調達業務がスムーズに進み、突発的な問題が起きた際にも迅速に対応できるようになります。
グローバルに活躍できる
調達・購買部は、海外のサプライヤーや顧客とやり取りする機会が多く、国際取引がやりがいのひとつになります。
海外のサプライヤーと直接交渉することで、英語で伝えるスキルや交渉の進め方が身につきます。
将来的にさらに広いキャリアパスを開くことができます。
トラブルを乗り越える達成感
調達・購買部では、突然の材料不足や納期の遅れなど、予期せぬトラブルは避けられません。
サプライヤーとの厳しい交渉や、生産中止部品の代替対応など、ストレスを感じる場面もありますが、それを成功させたときには大きな達成感があります。
難しい交渉をクリアするたびに、スキルアップとともに自信が深まります。
調達・購買部の仕事で大変に感じること
調達・購買部は、企業にとって大切な部門ですが、日々の仕事にはさまざまな難しさがあります。
ここでは、よく直面する「交渉」「トラブル対応」「多忙さ」について説明します。
交渉の難しさとプレッシャー
調達・購買部の中心的な業務は、サプライヤーと条件を交渉することです。
これはただ単に価格を安くするだけでなく、品質や納期といった要素も含めた全体的な条件をまとめる必要があります。
特に、双方が納得できる妥協点を見つけることは簡単ではありません。
また、会社の利益に直結するため、失敗が許されないという緊張感もあります。
トラブルへの迅速な対応
調達・購買部では、予期せぬトラブルが発生します。
たとえば、急な材料不足やサプライヤーの納期遅れといった問題が起こります。
こうした状況に冷静に対処し、すぐ解決策を見つけることが求められます。
現場が滞らないよう迅速な判断が必要とされるため、対応力が試される瞬間が多くあります。
多忙さと責任の重さ
調達・購買部には、価格交渉・発注・納期調整など、さまざまなタスクを同時にこなさなければなりません。
さらに、他の部署との連携や海外サプライヤーとのやり取りもあり、忙しさを感じることが多いです。
また、会社の財布を握っているため、失敗が許されないというプレッシャーがあります。
こうした責任の重さが、調達・購買部の仕事の難しい要因です。
【体験談】実際の仕事で知っておくべきこと
調達・購買部の仕事について実際に筆者が経験したことから、ぜひ覚えていただきたいことを紹介します。
経験を積んだあとの業務について
入社した頃は、価格のブレない安定した部品を担当することが多いです。
それからレベルアップすると、取引数量や素材価格の影響で購入単価が変わるような難しい部品を担当するようになるため、理論武装して価格を決定しなければならなくなります。
たとえば、その地域の物価や人件費を試算し価格が妥当であるかを調べ、購買先から値上げがあっても反論する必要があります。
自分のお金だという感覚をもって、簡単に価格合意しないことが大切です。
サプライヤーの生産中止部品に注意
取引先からある部品について生産中止の連絡があった場合、いち早くその情報を仕入れ自社の生産工程に影響が及ぼさないよう他の購買先を探すことも必要です。
部品の仕入れがストップしたら自社製品が作れなくなり緊急事態になってしまいます。
通常は購買先の会社から連絡がありますが遅くなることもあるので、日頃から購買先の会社と密に連絡を取り合い、最新情報へアップデートすることが大切です。
取引先の総合窓口という役割もある
購買部門は仕入れ先に対して総合窓口の役割も持っています。
そのため、取引先と社内の部署との間に入り、いろんな仲介業務をやらなくてはいけません。
筆者が調達部門にいたある1日の実際の流れ
筆者が購買部門にいた頃の1日を紹介します。
- メールチェック&返信
- 仕入れ先業者との価格協議
- 提出された見積もり内容のチェック
- 発注処理
- 未提出の見積書のフォロー
- 部品の価格推移まとめ
- 社内打ち合わせ
基本的に価格に絡む業務が多いです。
部品の価格推移まとめとは、過去の発注・見積もり履歴と照らし合わせ、見積単価がアップしていないかを確認することです。
よくある仕事のトラブルとその解決法
調達・購買部の仕事では、計画通りに進まないこともあります。
ここでは、調達・購買部でよく発生するトラブルと、その対処方法について説明します。
納期が遅れるトラブル
サプライヤーからの材料や部品が予定通りに届かないことが少なからずあります。
このような納期遅れは、製造ラインに影響を与えるため、あってはなりません。
もし納期が遅れた場合は、できるだけ早くサプライヤーに連絡を取り、原因を確認して対処することが大切です。
品質に問題がある
サプライヤーから届いた材料や部品の品質が基準を満たしていない場合も、調達・購買部が経験する困りごとです。
品質の問題は、製品全体の信頼性に影響するため、早急な対応が求められます。
このような場合、品質管理部門と一緒にすぐサプライヤーへ報告し、交換や返品の手続きを進める必要があります。
品質基準を事前に明確にしておくことや、定期的な品質チェックを行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
コストが想定より高くなる
調達する材料や部品のコストが予想以上に高くなることもあります。
これには次の要因が考えられます。
- 資材費の高騰
- 人件費の高騰
- 電気・ガス・水道料金の値上げ
- 仕様変更による価格アップ など
コストが上がると会社全体の利益に悪影響を及ぼすため、早めに対策を取らないといけません。
より人件費の安い海外メーカーや、日本国内の地元企業を新規開拓する必要があります。
在庫が多すぎたり不足する
在庫の管理は、調達・購買部にとって重要な仕事の一つです。
在庫が多すぎると、保管スペースの問題や資金の無駄につながります。
反対に、在庫が不足すると製造ラインが止まるリスクがあります。
このバランスを取るのは難しいですが、システムを導入したりデータをもとに発注計画を立てたりすることが解決のカギです。
需要の変動に応じて柔軟に対応できる仕組みを作ることで、在庫問題を最小限に抑えられます。
調達・購買部門がおすすめな人とそうじゃない人
調達・購買部門の仕事は、会社の利益を守り、品質を確保する重要な役割を果たします。
ここでは、この職種がどんな人に向いているのか、逆にどんな人には向いていないのかを詳しく掘り下げて解説します。
おすすめな人
調達・購買部がおすすめな人は次の通りです。
数字やデータの分析が好きな人
調達・購買の仕事は数字であふれています。
たとえば、複数のサプライヤーからの見積もりを比較し、価格を比較するのが日常的な仕事です。
- 過去からどれくらい価格が変更されたのか?
- 単価がどう違うのか?
サプライヤーから見積書を受け取ったときに、こういった分析を楽しめる人は非常に向いています。
交渉やコミュニケーションが得意な人
調達・購買部門では、社内外の多くの人と関わる機会があります。
特に、サプライヤーと価格や納期を交渉する場面では、相手の立場を理解しつつ、自社の利益も守るバランス感覚が重要です。
交渉が得意で、相手との信頼関係を築くことが好きな人には非常にやりがいを感じられる仕事です。
社内でも他部署との連携が必要なため、チームワークを大切にする姿勢が活かせます。
細かい作業を丁寧にできる人
調達・購買部には、契約書の内容を確認したり、発注書や請求書の管理を行ったりと、細かい業務が多いのも特徴です。
一つのミスが大きなトラブルにつながる可能性があるため、正確さと丁寧さが求められます。
新しいことに挑戦するのが好きな人
調達部では、新規のサプライヤーを開拓する機会や、新しい部品の生産依頼など、今までの取引を変える挑戦が求められます。
これは、競争力のある価格やより良い品質を追求するために必要なのです。
ものづくりに興味を持ちつつ、新しいアイデアを試し、柔軟に対応しようとする姿勢がある人にはぴったりの仕事です。
おすすめじゃない人
調達・購買部がおすすめじゃない人は次の通りです。
交渉や人とのやり取りが苦手な人
サプライヤーとの交渉や、他部署との連携は、調達・購買部門の仕事の重要な部分です。
人とのやりとりが苦手だと毎日ツラく感じてしまいます。
おしゃべり好きでなくても問題ありませんが、問題を解決しようとするコミュニケーション能力が必要です。
急な対応が苦手な人
取引先からの納期遅延や、急な市場価格の変動など、突発的な問題が発生することは珍しくありません。
こうした状況に柔軟に対応できないと、ストレスが溜まってしまいます。
出張やトラブル対応が少なく、ルーティン作業を好む人にはおすすめできません。
購買部・調達部でキャリアアップを目指す方法とは?
購買部や調達部でキャリアアップを目指すには、専門知識やスキルを深めるだけでなく、業務に対する主体的な姿勢や実績を積み重ねることが重要です。
ここでは具体的な方法を解説します。
業務経験を重ねてスキルを磨く
購買や調達業務では、価格交渉・納期管理・サプライヤーの経営状況の管理といったさまざまな業務があります。
これらの仕事をしていくなかで、交渉力や管理のスキルが向上します。
たとえば、「サプライヤーとの交渉で年間20%のコスト削減を実現した」など、具体的な数値で示せる成果があると、どの会社でも通用する大きな武器になります。
納期に追われ大変な業務ですが、やりがいもあり成長できる部署です。
資格を取得する
購買・調達分野で有名な資格にはCPPや通関士などがあります。
実際に仕事をしながら資格を取得することで、資格手当がもらえたり、昇進や転職の際にかなり有利になります。
転職も視野に入れる
いまの会社でキャリアアップが難しい場合は別の会社を経験してみましょう。
新たな業界での挑戦でより高いポジションになるケースも多いです。
たとえば、自分の裁量で仕事ができたり、給与を200万円以上アップさせることもできます。
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まとめ
以上が購買部門が花形と言われる理由と具体的な業務内容です。
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